近年、副業のひとつとしても話題になってきているFX取引。投資に興味はあるけれど、難しそうでなかなかはじめられない…と思っている方もいるかもしれません。こうした取引にはいくつかの定められた戦略があるのをご存知でしょうか。有名なものでは、『スキャルピング』、『デイトレード』、『スイングトレード』、『ポジショントレード』などの戦略タイプがあります。こうした取引スタイルは、取引が開かれている時間枠と期間の長さによって異なってきます。これから海外fxをはじめてみようかと考えている投資ビギナーの方でも理解しやすいように、ここではFXなどにおいてもしばしば活用されている取引戦略についてご紹介していきます。
スキャルピング
スキャルピングは最も短期的な取引形態です。この戦略ではトレーダーはポジションを数秒、または長くても数分しか保持しません。これらの短期間の取引は、日中の小さな価格変動を対象としています。つまり、少ない利益で迅速な取引を数多く行うことを目的としていますが、各取引セッションで実行される取引の数が膨大であるため、1 日を通して利益が蓄積されていくのが特徴となっています。もちろん、そのためにはトレーダーが常に取引画面を注意深くチェックし、多数のポジションのオープンとクローズを繰り返す必要があります。基本的に、戦略は長期的な市場予測(この予測は非常に困難な場合が多い)の正確性を必要としないので、この取引スタイルでは、狭いスプレッドと流動的な市場が必要となってきます。そのため、スキャルパーは流動性と取引量の多さから、EURUSD、GBPUSD、USDJPYなどの主要通貨ペアのみを取引する傾向があります。さらに、取引日の中で最も混雑する時間帯、つまり取引量が多くボラティリティが高い取引セッションが重なる時間帯のみに取引する傾向もあります。
また、トレーダーは市場の小さな動きしか捉えることができないので、スキャルピングトレードには通常よりも大きなポジションサイズが伴う傾向があります。許容できるリターンを達成するには、スキャルパーは毎日複数のポジションをオープンし、収益性を高めるためにかなりのポジションサイズに依存する必要があります。もちろん、大きなポジションサイズを維持することはリスクの水準を高めることにもなるため、ストップロスはすべてのポジションで極めて重要なものになります。スキャルパーがポジションで急ブレーキをかけられない場合、短期的な傾向が反転すると、かなりの損失が蓄積する可能性もあります。
デイトレード
スキャルプ取引の激しさには抵抗があるけれども、一晩中ポジションを保持したくないという人には、デイトレードが適しているかもしれません。ただし、デイトレードはアマチュア投資家向きの戦略ではないともよく言われています。デイトレードで成功するには、洗練された戦略を実践する規律は言うまでもなく、知識、経験、資本がほどよく必要となってくるからです。
デイトレードとは、1日の間に同じ証券を複数回売買する取引を指しています。つまり、取引時間中に証券が値上がりする可能性を捉える手法なのです。こうした取引は金融機関だけでなく個人でも行れており、技術的には誰でもデイトレードに参入できます。しかし、デイトレードには多くのリスクが付きまとい、誰にでも適しているわけではないところから「アマチュア投資家向きではない」と言われるのです。基本的には、市場の素早い値動きを捉え、証券売買から利益を上げる手法ではあるのですが、デイトレードで成功するには、リサーチや計画、取引の実行に膨大な時間が必要となってきます。投資先の市場を徹底的に理解し、市場環境が良いときも悪いときも資産を管理する計画を立てる必要があるのです。デイトレードについて常にできるだけ多くの情報を集めることも大事になってきます。そのため、デイトレーダーはMACD(移動平均収束ダイバージェンス)、相対力指数、確率オシレーターなどのテクニカル指標を使用して、トレンドや市場の状況を特定するのに役立つファンダメンタルズ分析とテクニカル分析に常に細心の注意を払っています。
スイングトレード
ポジションを 1 日未満保有するデイトレーダーとは異なり、スイングトレードは数日から数週間という期間で完了する取引のことを指しています。短期売買のため、ファンダメンタルズ分析よりもテクニカル分析をより重視するスタイルとなります。スイングトレードを好むトレーダーは、大きな利益よりも小さい利益を積み重ねることを重視します。また、ポジションは一定期間保持されるため、短期的な市場の動きを捉えるためにトレーダーが 1 日を通してチャートや取引を常に監視する必要がありません。そのため、他の仕事(フルタイムの仕事など)があり、余暇を利用して取引したい、副業として取引がしたいという人にとっては人気の取引スタイルとなっています。ただし、それでも市場の分析に 1 日か数時間を費やす必要があります。
そしてこのスイングトレードも、さらに『トレンド・トレーディング』や『ブレイクアウト・トレーディング』などの手法に細かく分類され、トレンド・トレーディングを好むトレーダーの場合、価格が高値を更新する場合に買い(ロング)のポジションを、市場が安値を更新する場合に売り(ショート)のポジションを保有し、そしてトレーダーが考える「スイングロー」と「スイングハイ」との水準で保有しているポジションを清算する手法となります。ブレイクアウト・トレーディングの場合は、最初に一定のレンジ内で推移している銘柄を見つけ、その銘柄が支持線や抵抗線を突破(ブレイクアウト)した後に、買い(ロング)、または売り(ショート)を仕掛けるという手法になります。
ポジショントレード
最後にご紹介するポジショントレードとは、ある一定の期間、金融資産のポジションを保有し、収益を上げることを目的とした取引のことを指しています。つまり、先述したデイトレードのように短期的な値動きを追うのではなく、数週間、数か月または数年単位の期間でポジションを保有するというのが大きな特徴としてあります。
ポジショントレードでは、金融派生商品の取引で利ざや収益を得ることを目的としています。CFD(差金決済取引)は代表的な金融派生商品で、CFD取引では、資産を所有することなくポジションを持つことが可能となっています。相場の上昇時には買い(ロング)のポジションを保有し利ざや収益を得ることができます。一方、相場の下落時には売り(ショート)のポジションで利ざやを得ることもできます。
『投資』とは、ある『資産』を購入し、その資産価格の上昇によって利益を得る行為のことですが、ポジショントレードで言われる『資産』とは、為替や株式、または債券などの金融商品が対象となっています。これらの資産を中長期で保有することで利ざや収益を狙うわけです。また、ポジショントレードでは、基本的に買い(ロング)取引が主流となっています。しかし、中長期のスパンでポジションを保有する過程では、弱気相場(ベアマーケット)が発生することがあります。このような局面では、短期的な売り(ショート)の取引で利ざや収益を狙います。さらに、ポジショントレードを成功させるには、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を行い、相場のトレンドとリスク要因を分析することが重要となってきます。